日本株分析

「高配当に惑わされるな」日本郵船(9101)の株価分析

気になる銘柄を分析し、その銘柄が、長期投資の対象として魅力的かを探っていきます。

本日は、日本郵船(9101)について分析していきます。

以下の順番で分析していきたいと思います。
是非最後までご覧下さい。

1.会社の説明
2.時価総額
3.株価、PER、配当利回り
4.チャート
  -長期チャート
  -短期チャート
5.売上高
6.一株配当
7.EPS(1株あたりの利益)→とくに大事
8.BPS(1株あたりの純資産)→とくに大事
9.ROE(自己資本利益率)→とくに大事
10.まとめ

1. 日本郵船(9101)とは?

日本郵船株式会社は、1885年9月29日に創立された大手海運会社です。

三菱グループ(旧三菱財閥)の中核企業であり、三菱重工業とともに三菱グループの源流企業にあたります。
三菱の創始者(初代総帥)である岩崎弥太郎によって設立され、1893年12月15日に株式会社となりました。

日経平均株価の構成銘柄の一つ。
英称の「NIPPON YUSEN KAISHA」から「NYK LINE」という副称があります。

国内・海外を合わせて350以上の都市の港へ684隻の運航船舶が乗り入れており、運航船舶数規模及び連結売上高及び連結純利益で日本では1位、世界でも有数の海運会社の一つとなっています。
2006年2月に、マースクライン社が世界第3位の業界シェアを占めるオランダの海運会社P&ONedlloyd 社と合併し世界最大手になったため、NYKは連結売上高で世界2位になりました。

ものすごい歴史を感じる日本を代表する会社です。
同社を溯れば坂本龍馬の海援隊の業務を岩崎弥太郎が引き継いだ九十九商会(後に三菱商会)にいきつくといいます。

ちなみに日本三大海運会社は、日本郵船、商船三井、川崎汽船です。
そんな海運業界の中でトップがこの日本郵船です。

2. 日本郵船(9101)の時価総額は?

日本郵船(9101)の時価総額は 1.97兆円です。(2023年時点)

時価総額ランクで言うと、AAランクです。

日本株の中でも上位ランクですね。

3. 日本郵船(9101)の株価とPERと配当利回りは?

次に日本郵船(9101)の株価とPER、配当利回りを見てみましょう。

株価:3,886円(2023年10月時点)

日本郵船(9101)の株価は、3,886円です。
100株単位で売買できるので、約39万円から投資をすることができます。

高いですね。
これだと、なかなか気軽に投資ができません。

PER:8.98倍(2023年10月時点)

次にPERです。
PERは、株価収益率ですね。
一般的に10倍以下であれば割安であると言われています。

日本郵船(9101)の場合、PERは8.98倍です。
なかなかの割安状態ですね。

配当利回り:3.35%(2023年10月時点)

続いて、配当利回りです。
日本郵船(9101)の場合、100株の投資でもらえる配当は毎年13,000円です。
配当利回りを計算すると、3.35%。

良いですね。
なかなかの高配当銘柄です。

なお、日本郵船の場合、株主優待として、飛鳥クルーズ10%割引券がもらえます。
日本郵船の株主優待については、↓を確認してみて下さい。

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4. 日本郵船(9101)の株価チャート

次に株価チャートを分析していきましょう。
まずは長期チャートです。

日本郵船(9101) 月足チャート

こちらには、長期の月足チャートを示しました。

2007年頃に大きく上昇し4,000円台に到達しています。
しかし、そこからかなり下げ、一時期約8分の1にまで落ち込みました。
ただ、そこから再び大きく上昇し、直近では2007年の高値を超え、上場来高値を更新しています。

かなり株価の変動が大きい銘柄ですね。

次に短期のチャートです。

日本郵船(9101) 日足チャート

こちらには、直近1年の日足チャートを示しました。

短期で見ると右肩上がりの上昇トレンドを形成しています。
ただ、直近はやや垂れてきてしまっています。

このままデッドクロスを形成すると大きく下げることも覚悟しなくてはならないかもしれません。

上昇の勢いが凄かっただけに、下げる時の勢いも凄そうですね。

5. 日本郵船(9101)の売上高

では、売上高を見ていきましょう。

こちらには、直近の売上高を棒グラフで示しました。

うーん、キレイな右肩上がりではないですね。

ただ、一時期2兆円を割ってしまっている年もあったのですが、直近では2.5兆円を超えるかなり高い水準となっています。

6. 日本郵船(9101)の一株配当

続いて、配当の推移について見てみましょう。

こちらには、直近の配当金の推移を棒グラフで示しました。

配当も波がありますね。
2022年度の配当は、1株あたり520円で、当時の株価から計算すると、その利回りはなんと19.9%でした。
ただ、2023年度は、ロシアウクライナ戦争などによって急騰したコンテナ船運賃の急落を受け、大幅減配となる見通しです。

それでも、利回りで言うと3%以上なので、依然として高配当銘柄と言えそうです。

7. 日本郵船(9101)のEPS(1株あたりの利益)

次に、EPSを見ていきましょう。
EPSとは1株あたりの利益のことです。
単年度でみるというより、過去数年にわたってチェックします。
過去数年でしっかり右肩上がりでEPSが上昇していれば、利益を伸ばしているということです。
そういった企業は、優秀な企業と評価できます。
一方、EPSが右肩下がりとなったり、デコボコしていたら要注意です。
長期投資としてそういった会社を検討するべきではありません。

では、見ていきましょう。

こちらには、直近のEPSを棒グラフで示しました。

EPSの動きも激しいですね。
直近ではなかなか高い水準に見えますが、過去を見るとマイナスとなっている年度もあります。

正直、あまり良くないです。
今後、直近の水準を保ち続けられれば良いのですが、直近の業績の背景にロシアウクライナ戦争などによるコンテナ船の運賃高騰があるため、今後もこの水準を維持するのは難しいと予想します。

8. 日本郵船(9101)のBPS(1株あたりの純資産)

次は、BPSです。
BPSは、一株当たりの純資産のこと。
このBPSが高いほど純資産が多く、負債が少ないということを表します。
すなわち、安定性が高い会社であると判断されます。
一方で、BPSが低いと純資産が少なく、負債が多いということになり、安定性を欠く会社であると見られます。

また、BPSの値と株価を比較することで、その株が割高か割安か判断することもできます。

では、そんなBPSを見てみましょう。

こちらには、直近のBPSを棒グラフで示してみました。

2021年度からの伸びがすごいですね。
これは、ロシアウクライナ戦争の影響でコンテナ船の運賃が高騰したことが主な原因ですが、正直、これはある意味バブルのようなもので、急騰したコンテナ船運賃は、直近急落しています。
今後もこの成長を維持できる可能性は少ないと思います。

運賃推移 (出処:日本郵船ホームページ)

9. 日本郵船(9101)のROE(自己資本利益率)

最後にROEです。

ROEとは、自己資本利益率のことです。
「会社の自己資本をつかってどれだけの利益を出すことができるか?」ということを表す数字です。
ROEは、先程のEPSとBPSでも求めることができます。
ROE = EPS / BPS です。
一般的に10%を超えていれば合格ラインとします。
つまり10億円の元手(純資産)で1億円を稼ぎだせればROE10%なので合格です。
そして、10%を毎年しっかり超えているような企業が我々長期投資家が検討するに値する優良企業ということになります。

それでは日本郵船(9101)のROE(自己資本利益率)を見てみましょう。

直近は40.85%とかなり高い水準となっていますが、過去を見ると、合格ラインに届いていない年もありますし、マイナスとなってしまっている年もあります。
あまり良くないですね。

10. 日本郵船(9101)の今後をまとめると

うーん、正直言うと、全然良くないですね。
直近は各指標が大きく伸びているのと、配当もなかなか良いので、一見投資をしたくなってしまうと思いますが、内容を確認すると、これはロシアウクライナ戦争の影響で一時期だけのバブルだということがよくわかりました。

こういった銘柄は、いくら直近の業績が良くても長期投資には向きません。

残念ですが、次にいきましょう。