みなさんは株主優待をほぼタダで手に入れる方法があることをご存知だろうか?
実は、クロス取引という方法があるのだ。
このクロス取引は、現物買いと信用売りで同時に同じ銘柄に注文を入れ、株主優待の権利を得た後に、信用売りを現渡(現物買いで取得した株を受け渡すこと)で決済し、株価の動きによる影響を相殺するという方法だ。
このように書くとなんだか難しそうに感じると思うが、とにかく実際に私もやってみたので、今日はその方法を紹介したいと思う。
欲しい株主優待を探そう
まずは、欲しい株主優待を探そう。
世の中には、数多くの株主優待が存在するが、ここでは、できるだけもらえる優待の額が大きなものを選ぼう。
僕は、3,000円分の優待食事券がもらえる吉野家ホールディングスで試してみることにした。
現物買いと信用売りを同時に注文
2月末割当基準日の株主優待に関しては、その株を2月末日(末日が土日・祝日の場合は、その前日)の2営業日前に保有している必要がある。
実際に、2月28日の2営業日前の前日夜に現物買い注文と、信用売り注文を出しておいた。
そして、2月28日の1営業日前まで吉野家ホールディングスの株を保有し、1営業日前に信用売りを現渡で決済した。
300円で3000円分の株主優待券が手に入る?
やったことはたったこれだけ。
実際にかかった費用は、手数料の300円ちょっと。
正直、これで株主優待がもらえるの?と全く実感がわかなかったのだが、実際に5月に300円券が10枚つづりとなった3,000円分の優待券が1冊届いた。
いかがだろうか。
かなり簡単だったのではないだろうか。
たったこれだけで株主優待が手に入るなんて、まるで魔法のようだ。
クロス取引の注意点
こんなに簡単なクロス取引だが、クロス取引を行なう上で、いくつか注意点がある。
信用取引ができる口座が必要
上でも紹介したように、クロス取引は、現物買いと”信用売り”を組み合わせた方法だ。
そのため、信用取引ができるようになっていないとこの方法はできないのだ。
通常、信用取引を行なうためには、各証券口座で申し込みをして審査に通らないといけない。
この審査の基準は証券口座によって様々だが、それなりの株式取引歴がないと審査に通らないことが一般的だ。
思わぬコストがかかることがある
また、クロス取引を行なう上でのコストを把握しておく必要がある。
必ずコストとしてかかるのが、以下の4つだ。
①現物買い手数料
②信用売り手数料
③貸株料
④配当金の差額
⑤逆日歩(かかるかからないかは場合による)
①と②は、それぞれの証券会社で定められている手数料だ。
株価によって変動するが、だいたい数百円というのが一般的だ。
③は、信用で株を借りている間に発生する賃料だ。
これも株価によって変動するが、だいたい数十円だ。
④は、現物株の購入により配当金を受け取れるのだが、税金で20.315%が差し引かれて支払われる。
逆に、信用売りに対しては配当金を支払う義務があるため配当金を100%支払うことになる。
よって、配当金の20.315%が損失になるということだ。
ここまでは、事前に計算することができるコストだが、事前に読むことができないコストがある。
それが、⑤「逆日歩(ぎゃくひぶ)」だ。
信用取引には制度信用取引と一般信用取引があるが、制度信用取引は、取引所が決めて行われるもので株式を貸せる数量に限りがある。
そのため、株式を貸せる数量が少なくなると、他の機関投資家から株を借りてくるのだ。
この株を借りるために支払う手数料が「逆日歩」だ。
この逆日歩手数料は、時には高額になることもあるため注意が必要だ。
実際、僕は、昔マクドナルドの株主優待をクロス取引で手に入れたことがあるのだが、逆日歩にやられ、1万円ほどの損失を被ったことを覚えている。
逆日歩は、各証券会社のホームページからその数字を調べられるので、是非クロス取引をする際は、この逆日歩に注意してもらいたい。
ただ、一般信用取引は各証券会社が決めているものなので、逆日歩は無い。
その分、在庫がなく注文を出せないことがあったり、人気銘柄の場合先着もしくは抽選になることがあるようだ。
終わりに
いかがだっただろうか?
上に注意点をいくつか書いたが、これらのしっかりとチェックした上でクロス取引を行えば、決して怖いものではない。
むしろ、かなりお得に株主優待を入手できることになる。
実際、裏ワザのようなこの方法、実は多くの人がすでにやっている。
ただ、上で紹介したように、クロス取引をするためには、手数料がかかるので、例えば、必要投資額が100万円で、500円分の株主優待がもらえる銘柄で、クロス取引をしてしまったら逆にクロス取引をすることによって、マイナスになってしまうので注意が必要だ。
とは言え、必要投資額が安く、もらえる優待の価値が高い銘柄でクロス取引をすれば確実に利益が出る方法なので、是非みなさんも試してみてほしい。