気になる日本株銘柄を分析し、その銘柄が、長期投資の対象として魅力的かを探っていきます。
本日は、トレンドマイクロ(4704)について分析していきます。
以下の順番で分析していきたいと思います。
是非最後までご覧下さい。
1.会社の説明
2.時価総額
3.株価、PER、配当利回り
4.チャート
-長期チャート
-短期チャート
5.売上高
6.一株配当
7.EPS(1株あたりの利益)→とくに大事
8.BPS(1株あたりの純資産)→とくに大事
9.ROE(自己資本利益率)→とくに大事
10.まとめ
1. トレンドマイクロ(4704)とは?
トレンドマイクロ株式会社は、コンピュータ及びインターネット用のセキュリティ関連製品の開発・販売を行っている企業です。
創業はアメリカですが、現在の本社は東京都にあるため日本企業と表記されることが多いそうです。
ただ、外国投資家の比率が30%を超えており、外国側筆頭出資者の出資比率が10%を超えていた時もあったため、外資系企業に分類されることもあります。
主に総合セキュリティ対策ソフト「ウイルスバスター」シリーズの開発と製品販売を行っています。
日経平均株価の構成銘柄の一つ。
ウイルスバスター、昔お世話になっていました。
そんなトレンドマイクロ(4704)の現在の社員数は6,854人です。
2. トレンドマイクロ(4704)の時価総額は?
トレンドマイクロ(4704)の時価総額は 8,599億円です。(2024年時点)
時価総額ランクで言うと、AAランクです。
3. トレンドマイクロ(4704)の株価とPERと配当利回りは?
次にトレンドマイクロ(4704)の株価とPER、配当利回りを見てみましょう。
株価:6,409円(2024年6月時点)
トレンドマイクロ(4704)の株価は、6,409円です。
100株単位で売買できるので、約64万円から投資をすることができます。
うーん、高い。
一つの銘柄に60万円以上は高いですね。
これではなかなか気軽に投資ができません。
PER:25.1倍(2024年6月時点)
次にPERです。
PERは、株価収益率ですね。
一般的に10倍以下であれば割安であると言われています。
トレンドマイクロ(4704)の場合、PERは25.1倍です。
20倍を超えているので、割高ですね。
配当利回り:11.5%(2024年6月時点)
続いて、配当利回りです。
トレンドマイクロ(4704)の場合、100株投資をしてもらえる配当は73,800円です。
配当利回りを計算すると、11.5%。
すごい水準ですね。
ただ、これは直近の普通配当に加えて、特別配当を合わせた額となっているため、例年がこれだけの利回りになるわけではありません。
ただ、普通配当の配当性向は70%となっているので、普通配当だけでもかなり高い配当性向となっていることが分かると思います。
配当金の権利確定日は、毎年12月末日です。
なお、トレンドマイクロ(4704)の場合、株主優待はありません。
4. トレンドマイクロ(4704)の株価チャート
次に株価チャートを分析していきましょう。
まずは長期チャートです。
こちらには、長期の月足チャートを示しました。
2000年ITバブルから下落したあとはしばらくパッとしませんでした。
ただ、2013年からは少し盛り上がっており、現在では、当時と比べると株価は約4倍となりました。
次に短期のチャートです。
こちらには、直近1年の日足チャートを示しました。
2023年6月からは下降トレンドとなっていたのですが、11月9日の決算発表を機に、完全にトレンドが変わりましたね。
これは上の配当のところでも少し書きましたが、特別配当を含めた株主還元策を発表したことが要因です。
この発表の翌日はストップ高となりました。
トレンドマイクロは9日、2023年12月期に普通配当と特別配当を含めて総額1000億円の期末配当を実施すると発表した。1株当たり配当目標は約738円を想定する。24年12月期中には400億円の自己株取得も実施する予定だ。株主還元を強化して保有現金比率を適正化する。
(出処:日経新聞)
株主還元策は、数年に渡り継続していく意向を示しているため、今後もこれに期待した買いが集まる可能性がありますね。
ただ、2024年5月以降は右肩下がりとなってしまっています。
5. トレンドマイクロ(4704)の売上高
では、売上高を見ていきましょう。
こちらには、直近の売上高を棒グラフで示しました。
いいですね。
右肩上がりで伸びています。
直近は売上高2,500億円に届きそうな勢いです。
ちなみに、トレンドマイクロ(4704)の決算月は12月です。
6. トレンドマイクロ(4704)の一株配当
続いて、配当の推移について見てみましょう。
こちらには、直近の配当金の推移を棒グラフで示しました。
配当は前述したように、直近だけかなりの額の配当が予定されています。
日本オラクル(4716)もそうでしたが、親会社に利益を還元することを目的に、配当を定期的に増額する方法をとっている会社があります。
トレンドマイクロもそういった方法をとっている会社の1つですね。
ただ、個人投資家もそういった会社に投資をすることで、その恩恵にあやかる事ができます。
7. トレンドマイクロ(4704)のEPS(1株あたりの利益)
次に、EPSを見ていきましょう。
EPSとは1株あたりの利益のことです。
単年度でみるというより、過去数年にわたってチェックします。
過去数年でしっかり右肩上がりでEPSが上昇していれば、利益を伸ばしているということです。
そういった企業は、優秀な企業と評価できます。
一方、EPSが右肩下がりとなったり、デコボコしていたら要注意です。
長期投資としてそういった会社を検討するべきではありません。
では、見ていきましょう。
EPSはキレイな右肩上がりではありませんね。
特に、直近3年間は右肩下がりとなってしまっています。
8. トレンドマイクロ(4704)のBPS(1株あたりの純資産)
次は、BPSです。
BPSは、一株当たりの純資産のこと。
このBPSが高いほど純資産が多く、負債が少ないということを表します。
すなわち、安定性が高い会社であると判断されます。
一方で、BPSが低いと純資産が少なく、負債が多いということになり、安定性を欠く会社であると見られます。
また、BPSの値と株価を比較することで、その株が割高か割安か判断することもできます。
では、そんなBPSを見てみましょう。
BPSは比較的堅調です。
ただ、直近のトレンドマイクロの純資産額が2,287億円なのに対して、2023年度は約1,000億円もの特別配当を出したわけですから、直近のBPSは下がりました。
ちなみに、この期間の年平均成長率(CAGR)は、3.82%です。
つまり、年間3.82%ずつこの会社は成長しているということを表しています。
9. トレンドマイクロ(4704)のROE(自己資本利益率)
最後にROEです。
ROEとは、自己資本利益率のことです。
「会社の自己資本をつかってどれだけの利益を出すことができるか?」ということを表す数字です。
ROEは、先程のEPSとBPSでも求めることができます。
ROE = EPS / BPS です。
一般的に10%を超えていれば合格ラインとします。
つまり10億円の元手(純資産)で1億円を稼ぎだせればROE10%なので合格です。
そして、10%を毎年しっかり超えているような企業が我々長期投資家が検討するに値する優良企業ということになります。
それではトレンドマイクロ(4704)のROE(自己資本利益率)を見てみましょう。
直近のROEは、5.06%です。
合格ラインを超えられていません。
ただ、過去を見ると安定して高いROEとなっています。
10. トレンドマイクロ(4704)の今後をまとめると
良いですね。
優良銘柄だと思います。
ただ、直近の施策をみても、企業としての成長よりも米親会社への還元を優先しているような企業です。
すでに、特別配当実施期待で株価は大きく上昇してしまっています。
正直、今後これ以上の大きな株価上昇は期待できないのではないかと思います。
今からは買いに向かいたいとは思えませんでした。
気になる方は是非IRや四季報を確認してみて下さい。