日本株分析

「魅力的な優待の落とし穴」イオン(8267)の今後の株価を予想してみた

気になる銘柄を分析し、その銘柄が、長期投資の対象として魅力的かを探っていきます。

本日は、イオン(8267)について分析していきます。

以下の順番で分析していきたいと思います。
是非最後までご覧下さい。

1.会社の説明
2.時価総額
3.株価、PER、配当利回り
4.チャート
  -長期チャート
  -短期チャート
5.売上高
6.一株配当
7.EPS(1株あたりの利益)→とくに大事
8.BPS(1株あたりの純資産)→とくに大事
9.ROE(自己資本利益率)→とくに大事
10.まとめ

1. イオン(8267)とは?

イオン株式会社は、千葉県千葉市美浜区中瀬に本社を置く、日本国内外300余の企業で構成される大手流通グループ「イオングループ」を統括する純粋持株会社です。
東京証券取引所プライム上場。
日経平均株価およびTOPIX Large70の構成銘柄の一つです。
世界11カ国に事業展開していて、小売業として世界第12位、日本第1位です。

元々は、四日市岡田家の初代岡田惣左衛門が、現在の三重県四日市市で創業した太物・小間物商「篠原屋」を起源としています。
六代目の岡田惣一郎が呉服商「岡田屋呉服店」に業態転換、さらにその息子である七代目の岡田卓也(現・名誉会長)が岡田屋・フタギ・シロの3社による共同仕入会社としてジャスコを設立したのが実質的な創業です。

現在の代表は卓也の長男である岡田元也が引き継いでいます。
立憲民主党の衆議院議員で元外務大臣・副総理の岡田克也は卓也の次男のようです。

岡田卓也の「狸や狐の出る場所に出店せよ」という言葉どおり、大規模駐車場を備えた郊外型の大型ショッピングセンターを中心に出店しています。

日本に住んでて行ったことない人はほとんどいないのではないでしょうか。
そのくらい生活に密着したお馴染みのスーパーです。

2. イオン(8267)の時価総額は?

イオン(8267)の時価総額は2.61兆円です。(2023年時点)

時価総額ランクで言うと、AAランクですね。

3. イオン(8267)の株価とPERと配当利回りは?

次にイオン(8267)の株価とPER、配当利回りを見てみましょう。

株価:3,052(2023年8月時点)

イオン(8267)の株価は、3,052円です。
100株単位で売買できるので、約31万円から投資をすることができます。
少し高いですが、日本株の中では普通の水準ですね。

PER:104.4倍(2023年8月時点)

次にPERです。
PERは、株価収益率ですね。
一般的に10倍以下であれば割安であると言われています。

イオン(8267)の場合、PERは104.4倍です。

なんと100倍を超えています!
かなりの高PERですね。

なかなか割高な銘柄と言えます。

配当利回り:1.18%(2023年8月時点)

続いて、配当利回りです。
イオン(8267)の場合、100株分投資をしてもらえる配当は、年間3,600円です。
利回りを計算すると、1.18%。

うーん、配当も少ないですね。

ただ、イオンの場合、株主優待が充実しています。
詳しくは下でご紹介していますが、イオンの場合100株投資をするとオーナーズカードというものが株主優待としてもらえて、年間のイオンでの買い物総額から3%のキャッシュバックが受けられます。

イオンによく行く人にとってはいいですね。
例えば100万円分イオンで買い物したら3万円のキャッシュバックです。

この優待目当てでイオン株を保有している人も多いのではないでしょうか。

イオンの株主優待については↓で詳しくまとめています。ご確認下さい。

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4. イオン(8267)の株価チャート

次に株価チャートを分析していきましょう。
まずは長期チャートです。

イオン(8267) 月足チャート

こちらには、長期の月足チャートを示しました。

株価は右肩上がりで上昇しています。
2020年のコロナショックでは逆に上昇したのですが、その後2021年をピークに下落。
ただ、直近では再び株価を上げてきています。

次に短期のチャートです。

イオン(8267) 日足チャート

こちらには、直近1年の日足チャートを示しました。

2023年4月にゴールデンクロスを形成しており、その後再び上昇トレンドへ転換しました。

直近はかなりの勢いで上げていますね。

5. イオン(8267)の売上高

では、売上高を見ていきましょう。

こちらには、直近の売上高の推移を棒グラフで示しました。

良いですね。
堅調な伸びを見せています。
2023年には売上高が9兆円を超えました。

6. イオン(8267)の一株配当

続いて、配当の推移について見てみましょう。

こちらには、直近の配当金の推移を棒グラフで示しました。

配当金は安定しています。
2020年に増配してから現在に至るまで、1株あたり36円となっています。

ただ、安定はしていますが、今後定期的な増配が見込めるわけではなさそうです。

7. イオン(8267)のEPS(1株あたりの利益)

次に、EPSを見ていきましょう。
EPSとは1株あたりの利益のことです。
単年度でみるというより、過去数年にわたってチェックします。
過去数年でしっかり右肩上がりでEPSが上昇していれば、利益を伸ばしているということです。
そういった企業は、優秀な企業と評価できます。
一方、EPSが右肩下がりとなったり、デコボコしていたら要注意です。
長期投資としてそういった会社を検討するべきではありません。

では、見ていきましょう。

こちらには、直近のEPSの推移を棒グラフで示しました。

凸凹していますね。
2021年はコロナの影響で当期純利益がマイナスとなり、2022年も多少その影響を受けています。
ただ、2023年には以前の水準近くまで回復しています。

8. イオン(8267)のBPS(1株あたりの純資産)

次は、BPSです。
BPSは、一株当たりの純資産のこと。
このBPSが高いほど純資産が多く、負債が少ないということを表します。
すなわち、安定性が高い会社であると判断されます。
一方で、BPSが低いと純資産が少なく、負債が多いということになり、安定性を欠く会社であると見られます。

また、BPSの値と株価を比較することで、その株が割高か割安か判断することもできます。

では、そんなBPSを見てみましょう。

こちらには、直近のBPSの推移を棒グラフで示してみました。

右肩下がりとなっています。
良くないですね。

9. イオン(8267)のROE(自己資本利益率)

最後にROEです。

ROEとは、自己資本利益率のことです。
「会社の自己資本をつかってどれだけの利益を出すことができるか?」ということを表す数字です。
ROEは、先程のEPSとBPSでも求めることができます。
ROE = EPS / BPS です。
一般的に10%を超えていれば合格ラインとします。
つまり10億円の元手(純資産)で1億円を稼ぎだせればROE10%なので合格です。
そして、10%を毎年しっかり超えているような企業が我々長期投資家が検討するに値する優良企業ということになります。

それではイオン(8267)のROE(自己資本利益率)を見てみましょう。

ROEは直近2.15%です。
お話にならないですね。
超低ROEです。
目も当てられません。

10. イオン(8267)の今後をまとめると

うーん、いい会社で、売上高はしっかり更新していますし、株価も長期で見ると右肩上がりなので悪くないのですが、やはりPERが高すぎます。
また、他の数字もよくありませんでした。
さらにROEは超低いです。
今の状態では、個人的に投資したいとは思えませんでした。

現在株価も右肩上がりで調子が良いですが、魅力的な株主優待と株価チャートだけを見て投資をしてしまうと痛い目を見ることになるので、注意した方がいいと思います。

気になる方はIRなどチェックしてみて下さい。