気になる日本株銘柄を分析し、その銘柄が、長期投資の対象として魅力的かを探っていきます。
本日は、川崎汽船(9107)について分析していきます。
以下の順番で分析していきたいと思います。
是非最後までご覧下さい。
1.会社の説明
2.時価総額
3.株価、PER、配当利回り
4.チャート
-長期チャート
-短期チャート
5.売上高
6.一株配当
7.EPS(1株あたりの利益)→とくに大事
8.BPS(1株あたりの純資産)→とくに大事
9.ROE(自己資本利益率)→とくに大事
10.まとめ
1. 川崎汽船(9107)とは?
川崎汽船株式会社は、東京都千代田区に本社を置く日本の大手海運会社です。
1919年4月10日、川崎造船所(現・川崎重工業)の船舶部が独立する形で設立されました。
日本郵船・商船三井に次いで国内第3位の規模を持ちます。
上位2社と比較するとコンテナ船への依存率が高いとされています。
このほか、石炭・鉄鉱石などの不定期貨物船、自動車運搬船、LNGタンカー、石油タンカーなどを運航します。
また、日本で初めて自動車専用船を導入した企業でもあります。
ファンネルマーク(船の煙突部分につける会社のマーク)は、赤地に白の K 。
通称“K”Lineと呼ばれる場合もあるそうです。
東京証券取引所プライム市場上場。
日経平均株価の構成銘柄の一つ。
川崎汽船、もとは川崎重工業だったんですね!はじめて知りました。
そんな川崎汽船(9107)の現在の社員数は6,080人です。
2. 川崎汽船(9107)の時価総額は?
川崎汽船(9107)の時価総額は 1.51兆円です。(2024年時点)
時価総額ランクで言うと、AAランクです。
3. 川崎汽船(9107)の株価とPERと配当利回りは?
次に川崎汽船(9107)の株価とPER、配当利回りを見てみましょう。
株価:2,142円(2024年5月時点)
川崎汽船(9107)の株価は、2,142円です。
100株単位で売買できるので、約21万円から投資をすることができます。
日本株の中では一般的な価格ですね。
なお、川崎汽船は、2024年3月31日に1株あたり3株に株式分割しています。
つまりは、以前までは100株買うのに今の3倍の資金が必要だったということです。
そう考えると、随分と投資がし易くなりましたね。
PER:14.8倍(2024年5月時点)
次にPERです。
PERは、株価収益率ですね。
一般的に10倍以下であれば割安であると言われています。
川崎汽船(9107)の場合、PERは14.8倍です。
15倍以下なので、適正水準といえます。
配当利回り:3.89%(2024年5月時点)
続いて、配当利回りです。
川崎汽船(9107)の場合、100株投資をしてもらえる配当は毎年8,333円です。
配当利回りを計算すると、3.89%。
良いですね。
高配当です。
配当金の権利確定日は、毎年3月末日と9月末日です。
なお、川崎汽船(9107)の場合、株主優待はありません。
4. 川崎汽船(9107)の株価チャート
次に株価チャートを分析していきましょう。
まずは長期チャートです。
こちらには、長期の月足チャートを示しました。
すごい形のチャートですね。
リーマンショックで大きく下げた後、しばらく停滞していましたが、その後2020年をすぎたあたりから株価は上昇し始め、直近上場来高値を更新しています。
勢いがすごいです。
次に短期のチャートです。
こちらには、直近1年の日足チャートを示しました。
右肩上がりのチャートです。
この1年間で株価は約2倍になっていますね。
素晴らしいです。
5. 川崎汽船(9107)の売上高
では、売上高を見ていきましょう。
こちらには、直近の売上高を棒グラフで示しました。
コロナの影響で2020年度まで縮小傾向でしたが、その後は右肩上がりで伸ばせています。
ただ、依然としてコロナ前の水準には届いていません。
ちなみに、川崎汽船(9107)の決算月は3月です。
6. 川崎汽船(9107)の一株配当
続いて、配当の推移について見てみましょう。
こちらには、直近の配当金の推移を棒グラフで示しました。
2020年度までは無配だったのですが、2021年度から配当が設定され、2022年には、一時期配当利回りが13%にもなりました。
すごい利回りですよね。
驚異的です。
ただ、これは、コロナやウクライナ情勢によって一時的にコンテナ船運賃が高騰したことによる、棚ボタ的な産物に過ぎません。
そのことについては、↓のサイトでわかりやすく解説されていたので、こちらを確認してみて下さい。
実際、2023年度は、2022年度の半分の額となってしまっている訳ですから、長期的に高配当銘柄として期待をすることはできそうにありません。
7. 川崎汽船(9107)のEPS(1株あたりの利益)
次に、EPSを見ていきましょう。
EPSとは1株あたりの利益のことです。
単年度でみるというより、過去数年にわたってチェックします。
過去数年でしっかり右肩上がりでEPSが上昇していれば、利益を伸ばしているということです。
そういった企業は、優秀な企業と評価できます。
一方、EPSが右肩下がりとなったり、デコボコしていたら要注意です。
長期投資としてそういった会社を検討するべきではありません。
では、見ていきましょう。
デコボコ感がすごいですね。
マイナスの年もあれば、ここ2年間は大きく伸ばしています。
ただ、これは、先ほどもご説明したように、コロナやロシアウクライナ戦争などの世界情勢を背景にしたコンテナ船運賃の一時的な上昇によるものです。
今後もこのEPSを維持していけるのかという点については、疑問が残ります。
日本郵船や商船三井も同じ状況ですね。
8. 川崎汽船(9107)のBPS(1株あたりの純資産)
次は、BPSです。
BPSは、一株当たりの純資産のこと。
このBPSが高いほど純資産が多く、負債が少ないということを表します。
すなわち、安定性が高い会社であると判断されます。
一方で、BPSが低いと純資産が少なく、負債が多いということになり、安定性を欠く会社であると見られます。
また、BPSの値と株価を比較することで、その株が割高か割安か判断することもできます。
では、そんなBPSを見てみましょう。
BPSもこの2年間の伸びがすごいですね。
ただ、それ以前は右肩下がりでした。
あまり良くないですね。
ちなみに、この期間の年平均成長率(CAGR)は、41.0%です。
つまり、年間41.0%ずつこの会社は成長しているということを表しています。
成長率はすごいことになっていますね。
9. 川崎汽船(9107)のROE(自己資本利益率)
最後にROEです。
ROEとは、自己資本利益率のことです。
「会社の自己資本をつかってどれだけの利益を出すことができるか?」ということを表す数字です。
ROEは、先程のEPSとBPSでも求めることができます。
ROE = EPS / BPS です。
一般的に10%を超えていれば合格ラインとします。
つまり10億円の元手(純資産)で1億円を稼ぎだせればROE10%なので合格です。
そして、10%を毎年しっかり超えているような企業が我々長期投資家が検討するに値する優良企業ということになります。
それでは川崎汽船(9107)のROE(自己資本利益率)を見てみましょう。
直近のROEは45.9%です。
合格ラインを大幅に超えています。
すごい数字ですね。
10. 川崎汽船(9107)の今後をまとめると
数年前までは、EPSのマイナスが目立ち、「投資をしてはいけない」銘柄の代表格でした。
直近は、コンテナ船運賃のバブル的な上昇によって、一見好業績となっているように見えます。
ただ、世界情勢が落ち着きを取り戻し、コンテナ船運賃が以前の水準に戻った時に、現在と同じような好業績となるのかというとそうではないのではないかと想像します。
現在は、すでにババ抜きの終盤となっているのではないかと思います。
今からエントリーすることは全くお勧めしません。
見た目の高配当、低PERに惑わされないように注意して下さい。
気になる方は、IRなどチェックしてみて下さい。