日本株分析

東京電力ホールディングス(9501)の株価を分析した

気になる銘柄を分析し、その銘柄が、長期投資の対象として魅力的かを探っていきます。

本日は、東京電力ホールディングス(9501)について分析していきます。

以下の順番で分析していきたいと思います。
是非最後までご覧下さい。

1.会社の説明
2.時価総額
3.株価、PER、配当利回り
4.チャート
  -長期チャート
  -短期チャート
5.売上高
6.一株配当
7.EPS(1株あたりの利益)→とくに大事
8.BPS(1株あたりの純資産)→とくに大事
9.ROE(自己資本利益率)→とくに大事
10.まとめ

1. 東京電力ホールディングス(9501)とは?

東京電力ホールディングス株式会社は、電力事業を行う企業グループである東京電力グループの事業持株会社です。
自社で原子力発電事業や原子力損害に対する賠償・除染事業を行っています。

かつての東京電力株式会社が、電気事業法の一部改正によって、2016年4月1日から施行される家庭用電力の小売り全面自由化に対応するため、同年同日に持株会社体制へ移行して社名変更しました。

日経平均株価の構成銘柄の一つで、東証プライム上場企業です。

略称は東京電力、東電(とうでん)や東京電力HD、または商号の英文表示の頭文字からTEPCO(テプコ)が用いられています。

2. 東京電力ホールディングス(9501)の時価総額は?

東京電力ホールディングス(9501)の時価総額は 1.13兆円です。(2023年時点)

時価総額ランクで言うと、AAランクです。

3. 東京電力ホールディングス(9501)の株価とPERと配当利回りは?

次に東京電力ホールディングス(9501)の株価とPER、配当利回りを見てみましょう。

株価:706円(2023年9月時点)

東京電力ホールディングス(9501)の株価は、706円です。
100株単位で売買できるので、約7万円から投資をすることができます。

東京電力といえば、2011年に福島第一原発事故を起こしたことで株価が大急落しました。
震災以前は2,500円近辺だったのですが、福島第一原発事故の影響で株価は約5分の1になっています。

現在では、日本株の中でも安い価格帯なので、初心者でも気軽に投資ができますね。

PER:4.9倍(2023年9月時点)

次にPERです。
PERは、株価収益率ですね。
一般的に10倍以下であれば割安であると言われています。

東京電力ホールディングス(9501)の場合、PERは4.9倍です。

10倍を切っています。
かなりの割安状態ですね。

配当利回り:0%(2023年9月時点)

続いて、配当利回りです。
東京電力ホールディングス(9501)の場合、現在配当はありません。
株主優待もありません。

4. 東京電力ホールディングス(9501)の株価チャート

次に株価チャートを分析していきましょう。
まずは長期チャートです。

東京電力ホールディングス(9501) 月足チャート

こちらには、長期の月足チャートを示しました。

やはり、2011年福島第一原発事故が転換点ですね。
ここで大きく下げています。

ちなみに、上場来安値は2012年の128円です。

ただ、もしこの最安値のタイミングで、仮に300万円分の投資をしていたら、現在では1500万円くらいにはなっている試算になります。

このように大きく下げたところでリスクを取って買って行くと大きなリターンを得られるという好例ですね。
(あれだけ批判を受けていた東電を株で支えるという経済的視点以外からの是非はさておき)

一方、上場来高値はバブル期の1987年の8,008円です。

次に短期のチャートです。

東京電力ホールディングス(9501) 日足チャート

こちらには、直近1年の日足チャートを示しました。

2023年7月以降大きく上昇しています。
完全に上昇トレンドとなりましたね。
まだまだ上がりそうです。

5. 東京電力ホールディングス(9501)の売上高

では、売上高を見ていきましょう。

こちらには、直近の売上高を棒グラフで示しました。

山のようになっていますね。
直近の2023年は大きく伸ばせていますが、微妙です。

ちなみに、東京電力ホールディングス(9501)の決算月は3月です。

6. 東京電力ホールディングス(9501)の一株配当

続いて、配当の推移について見てみましょう。

出処:東京電力ホームページ

こちらには、直近の配当金の推移を棒グラフで示しました。

東京電力の場合、2011年以降はずっと無配となっています。

なお、配当について、東京電力は下記のような声明を発表しています。

2023年3月期の業績につきましては、グループ全社を挙げた収支改善に努めたものの、燃料・卸電力市場価格の高騰等による電気調達費用の増加などにより、連結の経常損益は2,853億円の損失となり、親会社株主に帰属する当期純損益は1,236億円の損失となりました。こうした厳しい経状況等に鑑み、誠に遺憾ながら当期の配当については見送ることといたしました。
2024年3月期の配当につきましても、引き続き厳しい経営環境等が見込まれることから、中間、期末とも見送る予定としております。

今後復配となることもちょっと期待しづらいですね。

7. 東京電力ホールディングス(9501)のEPS(1株あたりの利益)

次に、EPSを見ていきましょう。
EPSとは1株あたりの利益のことです。
単年度でみるというより、過去数年にわたってチェックします。
過去数年でしっかり右肩上がりでEPSが上昇していれば、利益を伸ばしているということです。
そういった企業は、優秀な企業と評価できます。
一方、EPSが右肩下がりとなったり、デコボコしていたら要注意です。
長期投資としてそういった会社を検討するべきではありません。

では、見ていきましょう。

こちらには、直近のEPSを棒グラフで示しました。

良くないですね。
2014年以降、震災の影響から立ち直りプラスとなっていたのですが、燃料価格の高騰などの煽りを受けて、2023年には赤字に転じてしまいました。
依然として厳しい状況が続いていますね。

8. 東京電力ホールディングス(9501)のBPS(1株あたりの純資産)

次は、BPSです。
BPSは、一株当たりの純資産のこと。
このBPSが高いほど純資産が多く、負債が少ないということを表します。
すなわち、安定性が高い会社であると判断されます。
一方で、BPSが低いと純資産が少なく、負債が多いということになり、安定性を欠く会社であると見られます。

また、BPSの値と株価を比較することで、その株が割高か割安か判断することもできます。

では、そんなBPSを見てみましょう。

こちらには、直近のBPSを棒グラフで示してみました。

直近は下げてしまっていますが、それまではしっかりと右肩上がりで伸ばせていました。
株主の価値をしっかりと増やせているということなので、その点は悪くないですね。

ちなみに、この期間の年平均成長率(CAGR)は、4.76%です。
つまり、年間4.76%ずつこの会社は成長しているということを表しています。

9. 東京電力ホールディングス(9501)のROE(自己資本利益率)

最後にROEです。

ROEとは、自己資本利益率のことです。
「会社の自己資本をつかってどれだけの利益を出すことができるか?」ということを表す数字です。
ROEは、先程のEPSとBPSでも求めることができます。
ROE = EPS / BPS です。
一般的に10%を超えていれば合格ラインとします。
つまり10億円の元手(純資産)で1億円を稼ぎだせればROE10%なので合格です。
そして、10%を毎年しっかり超えているような企業が我々長期投資家が検討するに値する優良企業ということになります。

それでは東京電力ホールディングス(9501)のROE(自己資本利益率)を見てみましょう。

直近のROEは赤字なので、算出できません。

過去を見ても、かなりの低水準で推移しています。
これだと、あまり長期投資には向きません。

10. 東京電力ホールディングス(9501)の今後をまとめると

PERの極端な低さ、インフラ株という需要が極端に減ることがない性質などを考慮すると、株価が低いうちに仕込んで大きく育てるという銘柄として悪くはない気がします。
エクソン・モービルしかり大きな事故を起こして株価急落した時というのは実は絶好の買い場だったりします。

ただ、配当がないこととEPSの直近の落ち込みは気になります。
投資をするのであれば、その辺りを考慮して慎重になった方が良さそうです。

また、直近は、電気料金の引き上げによる収益改善や原子力発電所再稼働への期待感などを背景に上昇相場が続いています。
ただ、あまりにも急ピッチで株価が伸びているので、仮に、収益改善が見込めなくなった場合、もしかしたらそれ以上のペースで今後株価が下がることもあるかもしれません。

投資をするのであれば、そういったリスクも考慮して投資をした方がいいと思います。
こういったチャートを見ると、この波に乗らないと!と焦ってしまうかもしれませんが、一度落ち着いて、本当にこの上昇が今後も続くのかということを考えてみて下さい。

気になる方はIRなどをチェックしてみて下さい。