以前も紹介したこの本に興味深いことが書いてあった。
それは、前回書いた「怒らない子育て」を実践する親に通ずるところがあるかもしれないが、本書では、辞めるべき習慣の1つとして、「我が子を世界の中心にすること」をあげている。
当然世界中のどの親にとっても、自分の子供は可愛くて仕方がないと思う。
子供が世界の中心かのように可愛がってしまうことは、当たり前かもしれない。
ただ、やり方を間違えてしまうと、とんでもない子に育ててしまうことになる。
世界の中心となった子供の末路
本書の著者がカウンセリングをしたある家族の話だ。
長年の不妊治療の結果、両親ともに40歳を超えて生まれた子供に対して、両親は、何一つ不自由の無い暮らしを提供して育てた。
子供がどこかに行きたいと言えば、連れて行ったし、何かを欲しいと言えば、買い与えた。
子供が少しでも嫌な感情を抱かないように、愛情をたっぷり注いで育てていた。
ただ、そんな子が12歳を過ぎたあたりから、両親に対して、何かと反抗的な態度をとるようになった。
さらに、学校では、評判の意地悪な子というレッテルが貼られていた。
両親はそのことにショックを受けて、著者のもとにカウンセリングに来たらしい。
2つの問題点
カウンセリングの結果、以下2つのことが問題だと分かった。
①子供は、自分が世界の中心だと思っていた。
②子供は、人付き合いのスキルが乏しかった。
②については、人の気持ちを汲み取るとか、順番を守るといった、人付き合いの中で必要なスキルをこれまでに身につけこなかったことが問題だった。
なんでも、学習をしなければ身につくことはない。
例え、人付き合いも、自ら学べないのであれば、親として教育をすることも大事なのだろう。
それよりも、問題は①の方だ。
多くの親が勘違いしていること
怒らない親と同じように、自分の子供を世界の中心だと思っている親の多くは、怒らないこと、褒め称えることが、自尊心を築くために重要だと思っている。
ただ、自尊心と自己愛をごちゃ混ぜにしてしまってはいけない。
自尊心ではなく、自己愛を育んでいた?
本書には、こんなことが書いてある。
1990年代には、自尊心の低さが、地域や校庭に広がる伝染病であるかのように論議されていた。
そんな「自尊心の危機」を食い止めるために、子供たちは、「あなたは特別だ」と教えられた。
みんながトロフィーをもらい「ナンバーワンだ」と保証してもらえた。
そうこうしているうちに、健全な自尊心と害をもたらす自己愛がごっちゃにされてしまった。
『自己愛過剰社会 』(邦訳 :河出書房新社 )を書いた心理学者のジ ーン・トウェンギによると 、ここ数十年 、欧米の子どもたちは分不相応なほめ言葉を浴びすぎて、自己愛をふくらませてしまった。
トウェンギは言う。
「子どもたちがすっかり高慢になってしまったのは親たちのせいだ」
よくあるのが、親がこう信じているケ ース。 「小さなほめ言葉が小さな自尊心をもたらすなら大げさなほめ言葉は大きな自尊心をもたらすに違いない」。
だから子どもに「今日はピッチで頑張ったね 」と言う代わりに「おまえは世界一のサッカー選手さ」と言ってしまう。
自己愛がもたらす7つの問題
こうして自己愛を膨らませて育った子供が抱えやすい7つの問題があると本書は指摘している。
1.自信過剰で攻撃的になる
2.いくら褒められても満たされない
3.人の気持ちを汲み取れない
4.常に不満がある
5.粘り強く頑張れない
6.周りを不快にする
7.欲望がすぐに満たされるものと期待をする
自己愛ではなく、自尊心を高めるためにはどうすればいい?
では、自己愛と自尊心を分けるものは何なのだろうか。
それは日頃の親の褒め方だ。
褒め方一つで、子供が不健全な自己愛を膨らませることになるのか、健全な自尊心を築くことになるのかが決まるのだという。
本書では、いくつか不健全な褒め方と健全な褒め方の例が示してあったので、紹介したい。
× 「あなたほど気前のいい子を見たことがないわ!」
○ 「友達におかしを分けるなんて親切ね 。あの子うれしそうだったね 」
× 「全問正解だなんてすごい!」
○ 「今年はよく頑張ったものね。努力が報われてる!」
× 「おまえは素晴らしいアスリ ートだ!」
○ 「今日はすばやく動いてたね。頑張ってるのがわかったよ」
みなさんは、×の褒め方をしていないだろうか。
正直僕はこれまでこういった褒め方をしてしまっていた。
おわりに
正直僕も、この本で指摘されている親と同じように、褒めることが自尊心を高めると信じ込んでいた。
その褒め方については、ほとんど考えてこなかった。
けど、最近、もう少しで4歳になる息子が、自分の思うようにいかないと、「わー」っと大声を出したりして、イライラを出すことが増えてきた。
また、妻と2人で会話をしていると、自分が加わってないのが気にくわないのか、怒って会話の邪魔をすることがある。
そんな時にこの本を読んでいてはっとした。
息子はもしかしたら、自分が世界の中心だと思ってしまっているかもしれない。
少し今まで彼を家の中心にしすぎたなと反省した。
これを続けても息子にも、僕ら親にとってもいい事なんてないからね。
まずは、今日紹介したように、褒め方から変えていきたいと思う。